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デザイナーとセンスについて

よく、『自分にはセンスがないから、デザイナーには向かない』という人がいます。でも、わたしは、デザイナーはセンスが必須なんて、まったく思っていません。というか、そもそもセンスって何ですか?

センスって何?

自分にはセンスがないから、という人に聞きたいのですが、センスって何ですか?もし、この質問に答えられないなら、自分でもセンスの正体がわかっていないことです。わからないのだったら、そもそも自分が持っているのかどうかも、わからないですよね。

もしくは、色の使い方やレイアウトといったデザイナーに必要なスキルのことを、センスという人がいるかもしれません。でも、少しでもデザインを勉強するとわかるのですが、配色やレイアウトは、自分勝手にやるものではなく、きちんとした理論があります。

たとえば、みなさんがスイカを販売するようなサイトやチラシを作成するとします。そのとき、みなさんは、緑や赤の配色を使うはずです。「なぜ緑や赤を使うのか」と聞かれたら、スイカの色だからと答えると思います。
あと、たとえばコカ・コーラのサイトをデザインするときには、きっと赤や黒を使うはずです。青を使うことは、絶対ないですよね。だって、コーラで青といったら、ペプシになってしまいます。

こんなふうに、配色を決めるときには、なぜこの色がふさわしいのかといった理由を考えて、使用する色を選択します。もちろん、赤といっても濃い赤や薄い赤、ピンク、オレンジ、紅など、いろんな赤があるので、一回で正解の色を決めるのは難しいです。でも、何回も色を変えて試してみることで、そのデザインにふさわしい色を選ぶことができます。

他にも、レイアウトなんかも、三分割にしたり黄金比にしたり、中央揃え、右揃え、左揃え、いろんな理論があり、デザイナーとよばれる人たちは、そういった理論を駆使して、作品を作っています。

たとえば、国境を越えて世界中の人から評価されるようなデザイン、100年後も評価されるような歴史に残るようなデザインの場合は、理論を越えた、それこそ万人の心に残るデザインを作る「センス」が必要かもしれません。

でも、たとえ小さなクライアントであっても、相手も満足させるデザインを作ることができたら、それはとても素晴らしいことだと思います。

わからないものを怖がっている?

これは、個人的な考え方なんだけど、「センスがないからデザインに向かない」という人は、センスというものが何なのかわからない、何なのかわからないから避けているようにみえます。もしくは、怖がっている人もいるのかな。

でも、そんな人に伝えたいのは、理論を覚えたら、デザインすることは全然怖くないですよ。

ちょっとここから自分の話が続きますが、わたしは体育の授業はキライでした。
当時の先生は、とりあえずバスケやソフトボールをやらせるだけで、チャイムが鳴ったら授業終了という感じでした。でも、わたしは球技の部活に入っていなかったから、捕球すらうまくできません。そうすると、ボールをうまく捕れないから、運動がますます嫌いになる、そんな状態でした。

今思えば、体育の先生は、なんでボールの捕まえ方を教えてくれなかったのだろう。初心者にボールの扱い方を教えるなら、捕球するときの姿勢から始まって、どうやってボールを受け取るのか。まずは遅いボールから始めて、だんだん速いボールに変えていく。こんなふうに段階を踏んでいくべきだと思います。もし、こんな風に基礎から教えてもらえれば、上手いか下手かは別にして、もっと球技が好きになっていたはずです。

デザインも、これと同じだと思います。美術系の学校でどう教えられるのかはわかりませんが、普通の学校の図画工作や美術では、デザインの考え方を教えてくれることは、ないと思います。そして、大人になってデザインやデザイナーという職業に興味を持ったとしても、美大に通っていない、センスがないと思い込んで、その道を諦めてしまう。

でも、最初にいったように、センスがなければデザイナーになれない、なんてことはありません。美大に通っていないとか、センスがないとか、そんなことはどうでもいいです。
大事なのは、しっかりと基本を学んで、自分の手を動かして、デザインの経験を積み重ねていこうとする気持ちです。

これも立派なデザイン

デザインはけっして大げさなものではなく、いつもの作業を、チョット変えるだけでも十分効果的です。例えば、タルタルソースのレシピを考えてみましょう。

マヨネーズ大さじ一杯、卵一個、玉ねぎ10g

この量が正しいかどうかは置いといて、材料を一行で書いてみました。うーん、これだと文章の区切りが分かりづらいですね。ですので、改行を加えてみましょう。

マヨネーズ大さじ一杯
卵一個
玉ねぎ10g

さきほどよりは、見やすくなりました。次に、それぞれが独立した項目とわかるように、箇条書きにしてみましょう。

  • マヨネーズ大さじ一杯
  • 卵一個
  • 玉ねぎ10g

次に、分量がわかりやすいように、材料と分量の間に点を加えてみましょう。

  • マヨネーズ・・・大さじ一杯
  • 卵・・・一個
  • 玉ねぎ・・・10g

これで、最初の分量より、ぐっと見やすくなりました。どの材料がどれだけ必要なのか、チラッと見ただけで把握できると思います。

「こんなのでデザインなの?」って思う人もいるかもしれませんが、読みやすく、わかりやすくなったのなら、立派なデザインです。

もちろん、デザイナーとして働くなら、配色やタイポグラフィーの知識、Photoshopのようなデザインソフトのスキルが必要になります。でも、実際に手を動かして経験を積めば、かならず習得できます。
もし、デザイナーとして働いてみたいと思ったら、まずは行動を起こしてみてください。

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ss

音楽関連のディストリビューション、Webディレクターとして働いてきました。最近は、もっとコーディングしたいなあと思っております。