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スティーブ・ライヒ『18人の音楽家のための音楽』を聞いて

去る4月、東京オペラシティで開催された、コリン・カリー・グループによる『スティーブ・ライヒ≪18人の音楽家のための音楽≫』を聞くことができました。
これまで、ライヒの音楽は録音でしか聞いたことがなかったので、ライヒの音楽を実際の演奏で聞く、初めての体験でした。

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スティーブ・ライヒは、1936年に生まれた現代音楽の作曲家です。ですが、彼の作品は、いわゆる一般的な現代音楽に比べて、すごく聞きやすいと思います。
それは、なぜか。ライヒの音楽は、いわゆる一般的に『現代音楽』と呼ばれるものとは、大きく違う気がするんですよね。

個人的には、音楽を構成する要素として

  • メロディ
  • ハーモニー
  • リズム

の3つがあると考えています。

ただ、シェーンベルク以降の現代音楽において、大きな特徴の一つが、調性の破壊だと思います。今、シェーンベルクの作品を聞いてみると、そこまで無調ではないように聞こえますが、当時の感覚としては、やはりインパクトがあったのではないでしょうか。
そして、この調性の破壊が音楽をわかりづらくし、聞きにくくしてしまったのではないかと思っています。
また、現代音楽の中には、アイデアが先行しすぎて、音楽を聴いているのか、音を聴いているのか、わかなくなるときがあります。

一方、ライヒの音楽は、調性の上で作曲されているのですが、それまでの音楽とは違うハーモニーを作っているように聞こえるんですよね。

例えるなら、19世紀までの音楽は、スープのように、いろいろな要素が絡まって大きな一つの旨みとなっている。他方、ライヒの音楽は、ケーキのように、いくつかの層にわかれて、でも食べるとそれらが一つのおいしさとなるような感じがしました。

ライヒの音楽を、実際の演奏で聞く機会は、なかなかないと思うので、いい体験ができたと思います。

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ss

音楽関連のディストリビューション、Webディレクターとして働いてきました。最近は、もっとコーディングしたいなあと思っております。