【レビュー】THE YELLOW MONKEY『9999』、彼らの音楽はいつも和を感じさせる

タワレコにて、THE YELLOW MONKEYのニューアルバム『9999』を購入。予約して発売日に購入するなんて、いつ以来のことだろう。いつもは、だいたい気付いたころに通常版を購入するのですが、昔コピーしていた思い入れのあるバンドでもあるので、初回限定版を購入。

今回のアルバムは、イエモンとしての再結成後初めてのアルバムであり、新作としても19年ぶりということで、ものすごいプロモーションが行われてました。全国紙にも載ってた気がします。

また、初回限定盤は、『9999』に加えて2016年から17年にかけて行われたライブのダイジェストやドキュメンタリーを収録したDVDが付いてきます。その分、ちょっとお値段も高めで、税抜で4,800円。とはいえ、CDケース自体も普通のプラケースではなく、きれいな印刷がされた三つ折りの紙製で、豪華な感じです。

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イエモンというと、世間ではどんな印象なんでしょうか。再結成したとはいえ、解散からしばらく時間も経っているし、当時のファンもイイ年齢になっているので、「懐かしの・・・」という括りになるのかもしれません。

熱心とは言えないけれど、一人のリスナーとして思うのは、どんなにハードなリフを弾いていても、グルーヴィーなリズムを刻んでいても、イエモンのサウンドは「和風」を感じさせる。コンソメスープや生クリームではなく、醤油と鰹節。エレクトリックなサウンドの奥底に、日本というかアジアというか、ぬめりのある湿っぽさがあるような。

いったい、それはどこから来たのだろう。イエモンの楽曲の大半を作詞・作曲している吉井和哉。吉井さんは、デヴィッド・ボウイに憧れていましたが、もちろんボウイにはなれない。そんな求めても求めても届かない渇望が、形を変えて吹き出したのが、吉井さんが作る曲の特徴ではないかと勝手に思っています。同時に、それがイエモンのアイデンティティーの一つでもあるとも思っています。
だから、彼らの、というより90年代を代表する名曲「JAM」も、Mott the Hoopleの”All the Young Dudes”をモチーフにしていたそうですが、僕は聴くたびに西城秀樹の「ブルースカイブルー」を思い出します。どうしても、日本の歌謡曲からの残滓が、にじみ出てしまうような気がするのです。

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そんなことを考えながら新しいアルバムを聴いたのですが、これまでとは違うイエモンサウンドというのが素直な印象です。アメリカでレコーディング、ミックスをしたせいか、四人の音の輪郭がはっきりとわかります。「デッド」、「あっさり」、「シンプル」、「枯れた」など、人それぞれの言い方があると思いますが、いい意味で年を重ねたサウンドのような気がしました。

雑誌のインタビューで吉井さんの『あたらしいイエモンを目指した』というような記事を読んだのですが、確かにイエモン的な「毒」も少なく、さらに手癖的な曲も少ない気がして、これが新しいイエモンなのかなあ。それとも、彼らがイエモンになる前は、こんな曲を演奏してたのだろうか、なんて妄想をしてみました。

とはいえ、アルバムの後半になると、イエモンらしさが徐々に表れて、特に9曲目の「Balloon Balloon」は、ねっとりとして歌詞もよくわからなくて、先行試聴会で一番評価が高かったのも然り。

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今年、彼らは4月から9月まで全国ツアーがあります。その後、どうするんだろう。
外野からは、すべてがうまく回っているように見えるので、さらに新しいアルバムを期待したいです。とはいえ、メンバー全員50代(!)でもあるので、無理はしないで欲しいです。

附記
こうやって音楽について語るとき、頭の隅にはかならず近田春夫『考えるヒット』が浮かんできます。一体、近田さんはイエモンをどんな風に感じていたのだろう。そんなことを考えながら書いていたのですが、近田さんも「歌謡曲にあってJ-POPから失われた嘆き、情念」といったものをイエモンに感じていたそうです。

近田春夫さんが語るイエロー・モンキー
http://mytyms.com/chikada-haruo-03/

もちろん、近田さんに追いつくなど望むべくもないことですが、それでもほんの少し近づけたような気がします。

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